きちんとなおす、とは。
歯の治療に携わってきて、思うことがあります。
「一度悪くなったら、もとにはもどらない」
あたりまえのことですが、大切なことです。
むし歯の治療は、「なおす」というよりも、「修復」です。
「修理」といったほうがいいかもしれません。
コップが割れたから接着剤でくっつけよう。
欠けてる部分を埋めて、水が漏れないようにしよう。
これと同じなんです。
修理はできるけれども、もちろん、割れる前よりも弱いし、毎日使ってたらそのうち水も漏れてきます。コップは新しい物を売っていますが、歯は二度と生えてきません。
だから、一番大切なことは、
修理しないといけない状態にしないこと
修理しないといけない所は、なるべく精密に処置をしつつ、長持ちする方法を考えること
です。
歯周病という病気があります。
一言でいうと、歯を支えている骨がなくなっていく病気です。
いくら歯をきれいにしていても、支えがなくなったら抜かないといけません。
「ぐらぐらになってきた!」から治療を始めても、手遅れであることも多いのです。
骨を守るしっかりした治療と、何よりも予防が大事です。
口の中は、悪くなってからではいいことがありません。
日頃からのチェックが健康な口内環境を守る秘訣です。
もし自分だったら
患者さんと向き合ったときに、
肝に銘じていることです。
「もし自分だったら、こういう治療を受けたい。」
という仕事をする。
そのために、次のことを心がけます。
しっかりと説明する
インフォームド・コンセントという言葉があります。 つまり、しっかり説明し、納得し、同意した上で治療を進めるということです。
いろいろな治療方法の中から、
患者さんご自身の希望に寄り添って治療法を決定する。
治療法は、たくさんあります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、一概に「これがベスト」というのは難しいのです。
患者さんの状態や、どこまで希望されるかによっても変わります。
治療法を押し付けることは、決してありません。
最終的に選ぶのは、私たちではなく、患者さんです。
一人一人、しっかり時間をとって丁寧に治療を進める。
治療は、痛くなく、すぐに終わる方がいいに決まっています。
しかし、しっかりと治療しようとすればするほど、時間がかかるものですし、時には痛みや、腫れを伴うかもしれません。
(もちろん、極力痛くないようにするのは当たり前です。)
だからしっかりと説明の時間をとり、納得いただいた上できちんとした治療を行うことが大事だと考えます。